東京高等裁判所 昭和32年(ネ)1493号 判決
しかし前示賃貸借は本件土地建物に対する被控訴人のための抵当権設定登記後に成立したもので、土地に関する限りその賃貸借につき登記その他の対抗要件を具備したことは、控訴人の主張立証しないところであるし、建物の賃貸借につきその引渡があつても、民法第六百二条に定める三年の期間を超える賃貸借であつて、右抵当権者で且つ競落人である被控訴人に対しては、もともと対抗し得ない筋合である。そしてこの場合右法定の最長期に短縮した範囲内では対抗できると解すべき法文上の根拠もないから、たとい控訴人が被控訴人の本訴物件の所有権取得後、本訴においてその始期より三年を越える部分の賃借権を抛棄したからといつて、右抛棄にかからない期間三年の限度で被控訴人に対抗し得る謂われはない。
(斎藤 坂本 小沢)